雑誌名・書籍名 Journal of Neuroendovascular Therapy
掲載年月日 2024;18: 207–212 8月20日
筆頭者氏名 石原秀章
共著者氏名 Shinya Kohyama, Sho Nishida, Kosuke Kumagai, Shinji Hayashi, Hiroshi Kato
論文表題 Effect of Intravenous Thrombolysis and Mechanical Thrombectomy on the Incidence of Acute Symptomatic Seizure and Post-Stroke Epilepsy in Patients with Acute Large-Vessel Occlusion. 急性脳主血管閉塞における早期症候性発作および脳卒中後てんかんの発症率、血栓溶解および回収療法の影響についての検討
はじめに:血行再建療法における急激な灌流の変化や出血性梗塞が発作を増加させるという議論がある。今回、主血管閉塞病変における早期症候性発作(発症7日以内)および遅発性てんかんの発症率、それらに対する血栓溶解(IV-tPA)/回収療法(IAT)の影響を検討した。
方法:急性主血管閉塞237例をIV-tPA+IAT:74例、IAT単独:82例、tPA単独:28例、IV-tPA+IATなし:53例の4群に分け、発作の発症率、危険因子に関して検討した。 結果:早期症候性発作を12例(5.1%)、遅発性てんかんを10例(4.2%)に認めた。IV-tPA やIAT施行群は来院時のNIHSS高値(15 vs なし群6)、ASPECT低値であったが、再開通率TICI(≧2c)が有意に高く(P=0.01)、出血性変化や予後、発作の発生に有意差を認めなかった。危険因子としては、早期症候性発作では入院時ASPECT6点未満(P=0.01)が、遅発性てんかんでは脳梗塞体積60ml以上(P=0.01)の関連が有意であった。 結語:急性主血管閉塞に対する血行再建療法は、早期症候性発作や遅発性てんかんの発症リスクにならない。広範な脳梗塞では遅発性てんかんに注意する必要がある。